サザンカの花咲く

2011-11-06(Sun)
今年、教会のサザンカの開花は、早かった。
10月始め、もう咲いていた。
寒い木枯らしが似合う花だから、この暖かな秋に咲いている姿は、やや不自然に感じた。

昨日午後、放射線の高い私の地域で、市の担当者による、放射線調査結果の説明会があった。
この地区は、1000世帯、3000人の住民が住んでいるが、
会場の小学校に、出席者が300人以上集まり、その関心の高さが感じられた。
私は、市からの説明より、放射線の被害を受けている住民はどんな考え、意見を持っているのか、
とても関心があった。

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説明会は、市担当者の話しが1時間、住民からの質問に答えるのが1時間の、2時間だった。
概ね、市からの話は、この予想外の原発事故に、国、県からの予算のない中、市民サービスが低下しても、予算の持ち出しで、出来る限りのことをして来たと、理解を求めた。
除染活動も、一部の地域から始まり、当地区も、12月から始まる。
来年1月から、国の予算が出て、本格的な除染活動に入れると話した。

しかし、一番身近な行政担当者である市の説明は、住民の不安を解消するには、
余りにも隔たりがあると、強く感じた。
それは、今まで、原発の安全神話に踊らされ、原発事故に対するシュミレーションや、避難の手順、対応が全くなく、放射能被害についての知識も持ち合わせていないことの結果であった。
3月、原発水素爆発で福島市は高濃度の放射線データを測定しても、それを市民に広報すらできなかった。
国も、県も、そして市も、すべて後手後手に回り、直接被害を受けている市民の心情を、
未だ受け止めることが出来ないでいる現状を、そこに見た。
住民に共通した意見は、とにかく、市民への対応が、遅いとの批判だった。

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参加した住民に、年配者が目立ったが、子供の汚染を心配して、若い夫婦も沢山来ていた。
朝の散歩で知り合った、近所の男性が、一番先に質問した。
聖アンナ教会で式を挙げたご婦人も質問した。
みんな、目に見えない放射能汚染に、恐れと不安で、一杯なのだ。

市は、全世帯を除染すると宣言したが、予算がない、人手がない、結局、汚染の低いところは、住民個人でしなさいとの言い方に、国、東電の責任は、どうなっているのかと、迫った。
1回の自動車走行サーベイによる調査で、町内を高い低いと2分し、高い地域のみ詳細調査をした。詳細調査されなかった地域の住民から、宅地内にホットスポットがあるのに、その区分はおかしいと述べた。
敷地内の除去土壌は、宅地敷地内に仮置き保管と言うが、そんな場所はないと、不満を述べる。
避難勧奨を認めないこの地区の子供たちに、もし何かがあったら、どう補償してくれるのかと、親が必死で質問する。
個人で除染をしたが、一向に減らず、屋根を痛めてしまった。雨漏り防止の工事代は、どう補償してくれるのか。

現在でも、除染の方法は、まだ確立していない。
専門家が試行錯誤しながら、一軒一軒違う除染方法が必要で、
今除染している地域は、もう3回も方法を変えて行っている。
屋根の作業は、個人で出来る範囲を超えている。
しかも、点での作業ではなく、面での作業、地域全体での除染が必要なのだ。

住民が強く市の担当者に迫ると、「市も、被害者なんですよ!!」と、胸を張る。
「1月から、予算が出るので、市は、義務として除染活動を行いますよ」とまで、言う。
どこでも聞かれる、お役人の悠長で、無責任、無意味な言葉だ。
目に見えない敵が、今、住民を襲っている。
予算があるなしの問題ではない。
市は、住民を守るため、行動を起こさなければ、不安を感じる市民は、もう、福島を離れるしかない。
市に対し、出来ないことまで、要求しているのではない。
だから、謙虚に何度でも、拭いきれない住民の不安を聴きとり、今出来ないのなら、
出来るため努力する姿勢を、見える形で、早く、住民に示して欲しい。

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サザンカの花言葉は、「困難に打ち勝つ」、「ひたむきさ」だそうだ。
サザンカは、この福島状況を心配して、いつもより早く咲いたのだろうか。
あと何年かかるか分からない、除染活動。
でも、今、やっとだが、始まった。
諦めないで、いつもの、普通の生活に戻れる日を、思い描こう。
子供の元気な笑い声が、町中にこだまする日を、楽しみに待っていよう。


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プロフィール

司祭 ヨハネ 橋本光明

Author:司祭 ヨハネ 橋本光明
 Rev.John M.Hashimoto
福島県福島市にある吾妻高原聖アンナ教会の牧師・司祭。
出身地は、福島県いわき市平。
1947年(昭和22年)3月生。
日本聖公会仙台基督教会(宮城県)、鶴岡聖公会(山形県)、米沢聖ヨハネ教会(山形県)、二本松聖マリヤ教会(福島県)、福島聖ステパノ教会(福島県)の牧師および管理牧師、福島聖愛幼稚園の園長として勤務。
挙式組数が、3000組を超え、朝、夕の祈りに、挙式者を覚え、ご家族のご健康と、幸せを祈る毎日です。
モットーは、キリストが、十字架の死を通して、自己犠牲と無償の愛を示された。その愛を、自らも実践し、キリストの愛を、一人でも多くの人に伝えたい。

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